「課題文」
When it was all said and done, the deal to release some of the hostages held by Hamas came down to two critical phone calls ultimately forcing each side to make a tough concession.

The Israelis were insisting that it was not enough to free just 50 of the roughly 240 hostages. They had to have more, they said. At that point, President Biden had to talk Prime Minister Benjamin Netanyahu of Israel into accepting what was on the table and then keep working to recover the rest.

As for Hamas, according to senior administration officials, its leaders were demanding that the pause in fighting incorporated into the agreement last five days, even though the Israelis refused to agree to more than four. Mr. Biden told the emir of Qatar, who was serving as the intermediary with Hamas, that four was all they would get for now.

音声解説はこちらからどうぞ。

                    
「訳例」
結局、ハマスが拘束している人質の一部を解放するための取引交渉は、2本の極めて重要な電話で決着をつけることになった。その結果、ハマスとイスラエルいずれもが厳しい譲歩を受け入れざるを得なかった。

イスラエル側は、約240人の人質のうち50人しか解放しないのは不十分だ、もっと多く解放すべきだと主張していた。その時点で、バイデン大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を説得してハマス提案の50人を受け入れさせ、そしてその後に残りの人質の解放を継続しなければならなかった。

一方ハマス側は、米政府高官によると、合意文書に含まれる期間をイスラエル側が4日間までとしているにもかかわらず、ハマス指導者は5日間に延長すべきだと要求していた。バイデン大統領は、ハマスとの仲介役を果たすカタールの首長に対して、今時点ではハマスには4日間が限度だと伝えた。
———————————————–

一、分析①(概説)
第1段落:~ the deal to release some of the hostages~ came down to two critical phone calls ultimately forcing each side to make a tough concession.

今回のテーマは、「結果を表わす副詞の構造的機能」についてです。

前半では今回の課題を巡る「結果を表わす副詞の構造的機能」とは何かについて構造的に示し、そして後半では、その判別基準を示します。

(1) ~ to two phone calls ultimately forcing each side to make~
⇒ to+O (noun) ultimately V-ing
  = noun, so that (and so) S+V

(2) S+V, only (never) to-inf
⇒ S+V1, so that (butなど) S+V2

(3) He awoke to find nobody (be) there
      ⇒ S+V1 and V2+O+C       

(4) The plane crashed with 100 deaths.
⇒ S+V with+O (名詞化された動詞)
         = S1+V1, so that (and so) S2+V2

上記した4つの構造式において、構造式(1)は「現在分詞」、構造式(2)と(3)は「不定詞」、そして構造式(4)は「名詞化された動詞」を目的語とする前置詞withの副詞語句のそれぞれが「原因に対する結果表現」となっています。

その結果表現の特徴が、構造式(1)と(2)では「特定の副詞」であり、構造式(3)では「特定の本動詞」であり、そして構造式(4)では「特定の名詞化された動詞」なのです。

しかし、構造式(4)については、前置詞withを使用していることから英文の表現法として特徴ある表現法ではなく、「結果の前置詞」というためには、後半の解説で述べるように本動詞と名詞化された動詞の双方の関係に注目する以外にはないのです。
———————————————–
二、分析②(理論) 
さて、英語の「結果表現」の判断基準を示す前に、日本語と英語における「結果表現」の特徴について取り上げます。

結果表現にはその前提として「原因(理由)表現」がありますが、英語の「表現法」は原則として「結果に対する証明法 lead(結論を伴う問題提起)⇒body(本文=理由・根拠)⇒conclusion(結論)」の書き方であることから、すべて「結果表現⇒原因(理由・根拠)表現」の手順で左から右の方向に展開されるのではないかと思うかもしれません。

しかし、そうではないのです。主義・主張の表現法である「結論⇒証明(理由・根拠)」を因果関係の「原因⇒結果」に当てはめることはできません。因果関係の書き順は、原因表現の後に結果表現が来るのです。

従って、この語順は日本語と同一だということです。ただし、英語には前半で示したように、結果表現を等位接続詞のみならず、不定詞や前置詞、さらには特定の副詞を伴った現在分詞によって表現している点は、日本語とは異なるのです。ですから、翻訳に際しては、慎重さが必要となります。

さて、因果関係の表現法の種類については前半で示した通りです。ここで注意すべきことは、①原因と結果が共に動詞による表現であること、②2つの動詞が表現形式にしても意味論的(因果関係)にも、一体化した表現であること、そして③その一体化表現は原因動詞の構造的機能、と捉えることができるということです。