「課題文」

Leaders of BRICS, a group of emerging market nations that represent about half of the world’s population, will meet for a high-profile summit on Tuesday, their first since a major expansion last year.

BRICS stands for Brazil, Russia, India, China and South Africa. This year, the group has expanded to include Egypt, Ethiopia, Iran and the United Arab Emirates. The members will gather for the three-day conference in Kazan, a city in southwest Russia.

The summit comes at a high-profile moment for BRICS, which sees itself as a counterweight to the West. World leaders will stand side-by-side with President Vladimir V. Putin of Russia, despite his pariah status in the West.

But there are deep differences between member states, and the bloc has struggled to articulate and define its purpose.

音声解説はこちらからどうぞ。

「訳例」

世界人口の約半分を占める新興市場国の連合であるBRICSの首脳は火曜日、注目される首脳会議に臨むが、この会議は昨年、組織が大幅に拡大されて以来初めてのものである。

 

BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国と南アフリカを表している。今年、BRICSは組織を拡大してエジプト、エチオピア、イランとアラブ首長国連邦を加えた。加盟諸国は、ロシア南西部の都市カザンで開催される3日間の会議に集まる。

 

この首脳会議は、BRICSにとって正に注目されたタイミングで開催される。というのは、BRICSが自らの組織を西側諸国の対抗勢力として捉えているからだ。各国の首脳は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が西側諸国でのけ者扱いになっているにも関わらず、肩を並べることになる。

 

しかし、加盟諸国の間には深い隔たりがあることから、同連合は組織目的の明確な定義づけに努力している。

 

一、分析法①(概説)

第1段落:Leaders of BRICS will meet for a high-profile summit on Tuesday, their first since a major expansion last year.

 

第3段落:The summit comes at a high-profile moment for BRICS, which sees itself as a counterweight to the West. 

 

      今回のテーマは、「2つの付加的構造物の扱い方」についてです。

 

 □ Leaders of BRICS will meet for a summit, their first since a major expansion.

 

          構造式(1):S+V, their first since a expansion(付加的構造物の処理)

 

        ⇒ S+V, one’s +noun(first)(s+v省略して合体)

                        

 □ The summit comes at a high-profile moment for BRICS, which sees itself as a 

  counterweight to the West.

 

     構造式(2):S+V, which sees itself as a counterweight~(関係詞の継続的用法)

 

        ⇒ S+V1+adv-phr, which(for +antecedent)+V2+O(関係詞の構成物)

                                                     

「付加的構造物」の働きは、中心的伝達内容を構成する主要構造物を「補佐」して、複雑な伝達内容を明確にする重要な表現法です。

 

従って、その「付加的構造物」の表現形態は多様なものになることから、主要構造物との間にどのような関係があるかを緻密に分析する必要があるということです。

 

構造式(1)の「付加的構造物」について:

 

構造式から分かるように、カンマ記号の直後の表現法は大雑把に言うと「名詞語句their first」であることから、直前の名詞summitと「同格」関係にあるように見えます。確かに、名詞summitについての表現ですが、その表現法は直前のような「summitの特質」についてのものではなく、summitを別視点から捉えたものであり、従って展開式で示したように「主述の省略」を伴う別の1文を簡略に合体させたものと捉えることができます。

 

次に、構造式(2)の「関係詞の継続的用法」について:

 

この分野の扱いについては幾度となく取り上げてきたのですが、多くの答案から学ぶことも多くあり、視点を変えた説明が必要であると思って、再度取り上げました。

 

詳細には触れませんが、基本的な原則を言うと、この「関係詞の継続的(非制限的)用法」は、「制限的(限定的)用法」とは異なって、訳出法において英文の流れに従って左から右へ「訳し下げる」という訳出法の特徴があるのです。言い換えると、この点においては日本語の表現法と合致しているということです。

 

その場合、2つの節を接続する必要が生じ、その場合の具体的な「接続語」は一体何か?つまり、「, which」をどのように「等位接続語化」すればいいのかという問題です。

 

それを構造式(2)で示しているのですが、その場合の等位接続詞の種類は基本的に4つあって、「and, but, for, though」がそれですが、そのいずれを選択するかが重要です。その選択基準の原則は、「nexus法則」です。つまり、主節の本動詞と関係詞節の従動詞を比較して合理的理由に基づいて決定するのです。上記の展開式をその視点から確認してください。

 

さらに、その決定基準については「先行詞antecedent」が「主節の中の如何なる地位(構成要素)にあるのか?」という問題がありますが、これにつぃては割愛します。

 

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二、分析法②(原理)

まず、構造式(1)の訳出法について説明します。

 

カンマ記号直後に名詞firstがあることから、前方の名詞summitを表していることが読み取れます。ということは、両者の間に「同格関係」があるかというと、上述したように同格語firstから前方の名詞summitそのものの内容説明になっていないし、むしろ所有格theirによって「筆者ではなく主語の別視点」から見たsummitについての説明であるために、本来の表現法としては2文であるものを1文に組み込んだことになります。

 

要するに、展開式で示したように、2文を1文に簡潔な表現にしたものと捉えることができます。

 

従って、両者を「同格関係の訳出(~という)」というような処理はできません。実際、多くの答案は、名詞firstを名詞summitを修飾する「形容詞」であるかのように処理していたのですが、勿論これも間違いです。

 

ではどう訳出するのか?ということですが、それは展開式で示したように「省略された主述(S+V)」を前提とした訳出になります。しかし、訳出では1文を2文に分割するのですから、それらを繋ぐ適切な「接続語表現」が必要になるのです。

 

次に、構造式(2)の訳出法です。

 

関係詞の継続的用法の場合、基本的に次の2点に配慮してください。1つは関係詞、ここではwhichの先行詞は何か?ということ、そしてもう1つは関係詞内にある等位接続詞をどのように決定するのか?という問題です。

 

前者は、関係詞と関係詞節内の従動詞との「主述関係(nexus法則)」によって決定しますが、後者の等位接続詞は、言うまでもなく節と節(主節と関係詞節)を繋ぐものであるから2つの動詞、即ち主節の本動詞と関係詞節内の従動詞の関係によって決定されるのです。

 

もっとも、この処理法が生かされた答案は一つもありませんでした、残念ながら・・・。

 

実は、この場合さらなる問題、つまり「先行詞(antecedent)」が主節の文要素、例えば主語や目的語、あるいは名詞補語なのか、それともそれらの要素に接続する修飾語句なのか、さらには前文全体なのかが、訳出する上で考慮しなければならないのですが、この問題は割愛します。