「課題文」
The U.S. Air Force, Navy and Marine Corps said on Wednesday that they were grounding their fleets of Ospreys after a preliminary investigation found that a problem with the aircraft may have caused a crash last week off Japan that is believed to have killed all eight airmen aboard.

In a statement, the Air Force cited “a potential materiel failure” in the crash, though it said the “underlying cause of the failure” remained unclear. The service said it had grounded its Ospreys to “provide time and space for a thorough investigation.” The U.S. Naval Air Systems Command, which is responsible for the Marine Corps’ and Navy’s versions of the Osprey, said it had followed suit “out of an abundance of caution.

音声解説はこちらからどうぞ。

                    
「訳例」
米空軍、海軍及び海兵隊は水曜日に、先週日本沖で搭乗していた空軍兵8人全員が死亡したと思われる墜落事故は、機体のトラブルによるものではないかということが予備調査で判明したことを受けて、今後オスプレイ編隊を飛行停止にすると述べた。

声明の中で、空軍は、その墜落事故は「潜在的な機材の破損」を原因に挙げたが、「破損の根本原因」については今なお不明だと述べた。空軍は「徹底的な調査に時間と場所をあてるために」オスプレイの飛行を停止したと述べた。海兵隊及び海軍のオスプレイを担当する米海軍航空システム司令部は、「注意を存分に払うために」先例に倣ったと述べた。
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一、分析①(概説)
今回の解説は、第1段落の’The U.S. Air Force~ said that they were grounding~ after a preliminary investigation found that a problem with the aircraft may have caused a crash that is believed to~.’です。

この解説のポイントは、「one sentence内の複数の従属接続詞や関係詞の扱い方」です。
           
前半の解説では、複数の従属接続詞による英文の構造的特徴について取り上げ、そして後半の解説では、配列の基本構造が「後置用法(後付け方式)」である英文を「前置用法(先付け方式)」である日本語へどのように言語変換するかについて取り上げます。

    「~ said that they were grounding~ after~ found that-cl that is
believed to~ 」

         ⇒ say that S+V after-cl that-V
 ⇒ V+ that-cl after-cl
        ⇒ V+ that-cl (S+V+O)

上記の構造式とその展開式は、2つの従属接続詞(thatとafter)と1つの関係詞thatによって構成された原文を本動詞sayとその目的語that-cl、及び付加的構造物after-clの関係で分析したものです。

構造論的に見ると、一番下の展開式のように単純な「第3文型」の構造であることが分かります。この分析の基本は、一番上の展開式で示したように目的語をthat-clにとる本動詞sayの構造的機能から捉えたものです。

要するに、このセンテンス全体の構成において、本動詞sayがthat-clを目的語とした「完全他動詞」として構成されたものであることから、目的語であるthat-cl以下の「after-cl」は主要構造物に対する「付加的構造物」すぎないことになります。

その「付加的構造物」にすぎない「after-cl」を主要構造物との関係でどのように処理するのかの訳出法は後半の解説で取り上げます。
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二、分析②(理論) 
        ⇒ say that S+V(,) after-cl that-V
          
さて、上記の解説で述べたように、その「付加的構造物」にすぎない「after-cl」を主要構造物との関係でどのように処理するのか?という問題です。

その説明のために用意したのが、上記の4番目の展開式です。

要するに、付加的構造物の従属接続詞afterは、その構造的機能によって従属節を直前の主要構造物の動詞に繋ぐ働きをしているのですが、この場合その動詞が本動詞sayなのか、それとも本動詞sayの目的語であるthat-clの中の従動詞なのかの決定をしなければなりません。

「形式的な決定基準と実質的な決定基準」があり、構造論から言うと形式的基準が基本となります。実質的な決定は、形式的な決定が困難、もしくはできない時の最終的な決定方法だということです。

上記の4番目の展開式が示しているのは、付加的構造物の直前に主要構造物と識別する「カンマ記号」の存在です。

要するに、100%の確率で適用できるものではありませんが、「カンマ記号」があれば従動詞と本動詞が繋がれ、「カンマ記号」がこの課題文のように無ければ主要構造物のthat-clの従動詞に繋がれることになります。

もっとも「after-cl」の従動詞と主要構造物内の動詞との関係が、「時間の経緯」の関係に立つことが前提となります。