「課題文」
The Supreme Court signaled Thursday it is poised to back former President Donald Trump and fend off a blockbuster challenge to his eligibility to appear on Colorado’s ballot, potentially by a wide margin.
During more than two hours of arguments, Chief Justice John Roberts and the high court’s other conservative justices peppered the lawyers representing Trump’s challengers with a series of questions that suggested they were seeking a way to side with the former president – most likely based on reasoning that doesn’t address the question of whether he is or isn’t an insurrectionist.
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「訳例」
連邦最高裁は木曜日に、ドナルド・トランプ前大統領を支援するために、コロラド州の予備選挙に立候補するトランプの資格に対する破壊的な異議申し立てを端(はな)から圧倒的多数で回避することを臭わせた。
2時間以上に及ぶ議論の中で、ジョン・ロバーツ主席判事とその他の保守派の判事たちは、トランプの対抗馬の代理人弁護士らに対して、これらの判事たちがトランプ側につく方法を模索していることをうかがわせる一連の質問を浴びせた。そのことから、判事たちは、トランプが暴徒であるか否かという疑問に応えない考えであることはほぼ間違いない。
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一、分析①(概説)
今回の解説は、第1段落の’~ with a series of questions that suggested they were seeking a way to side with the former president – most likely based on reasoning that doesn’t address the question of~ ‘です。
この解説のポイントは、「emダッシュ記号の処理上の注意点」です。
前半の解説では、「emダッシュ記号」の使用法(使い方)について取り上げ、そして後半の解説では、その訳出法について取り上げます。
「~ they were seeking a way to side with~ – most likely based on
reasoning~ 」
⇒ 1) S1+V1 – S2+V2
⇒ 2) S+V – prep(v-ingを含む)+O
⇒ 3) S+V+C – a, b, and c(n, adj, adv, etc)
上記の3つの展開式から分かるように、「emダッシュ記号」は後方の単語や語句・節を前方の主文に繋ぐ役割を果たしていることが分かります。
その意味で、「emダッシュ記号」は、その構造的機能によって「接続関係」に分類できるのです。
そこで、展開式(1)(2)は、主文の述部(V)に関わるものであり、そして展開式(3)は、主文の補語(C)に関わっています。
上記の課題文で使用されている「emダッシュ記号」の配置は、センテンスの「末尾」になっていますが、その役割によって「文中」になることもあります。その意味から、「emダッシュ記号」の用法は「挿入語句・節」であるということができます。
さて、上記のような「emダッシュ記号」の用法のそれぞれを、どのように訳出処理するかについては、後半の解説で明らかにします。
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二、分析②(理論)
さて、上記したことから分かるように、「emダッシュ記号」は後方の単語や語句・節を主文に繋ぐ働きをしていることから、後方の単語や語句・節は主要構造物である主文に対して、「付加的構造物」ということになります。
その付加的構造物の訳出法は、正に「後方の単語や語句・節の文頭の表現法」によって決定されます。展開式(1)の後方の表現法は「節」となっていることから、主文に対して筆者による新たな視点からの主張であることが分かります。また、展開式(2)は前置詞あるいは分詞ですから、その構造的機能によって「主文の述部」に関わる表現法であることが分かりますが、場合によっては展開式(3)のように、主文の構造物の一部である単語や語句についての「本動詞とは別の新たな視点」からの主張や具体的な説明も考えられます。
その場合の訳出法は、主文に対する「本動詞とは別の新たな視点」からの「追加的な説明」や「具体化」の表現法となります。「挿入語句・節」ですから、一概に「譲歩」の様式に限定されるものではないのですが、「追加的な説明」や「具体化」の表現法は、譲歩に加えて「強調」の役割も果たしているのです。
また、主文の訳出の中で「バーレン記号(丸括弧)」を用いることも、「カンマ記号」で追加表現することも、また独立した節表現も可能ですが、その際忘れてならないことは、「主節との接続法」を訳出の中で可能な限り明瞭に示す必要があるということです。