「課題文」
“The time has now come to suspend my campaign. I said I wanted Americans to have their voices heard. I have done that. I have no regrets,” Haley said during remarks in Charleston, South Carolina, following a series of losses in GOP nominating contests on Super Tuesday.

Haley congratulated Trump in her address but did not endorse him.

“I have always been a conservative Republican and always supported the Republican nominee, but on this question, as she did on so many others, Margaret Thatcher provided some good advice when she said, ‘Never just follow the crowd. Always make up your own mind,’” the former governor said.

音声解説はこちらからどうぞ。

                    
「訳例」
「今や選挙運動を中止すべき時になった。私は、アメリカ国民が自らの声を聞いてもらえるようにしたいと言った。実際、私はその通りにした。後悔などしていない」と、ヘイリー氏は、スーパー・チューズデーにおける共和党指名候補争いで一連の敗北を受け、サウスカロライナ州チャールストンでの発言の中で述べた。

発言の中で、彼女はトランプ氏を祝福したが、支持しなかった。

「私はこれまでも変わらず保守派の共和党員であったし、共和党指名候補を支援してきた。しかし、この問題について言えば、マーガレット・サッチャー氏が非常に多くの事柄で実践したように、『一般大衆の意見に盲目的に従ってはならない。常に自らの判断に従え』という彼女の言葉は、私にとってすばらしい忠告となった」と、同州の前知事は述べた。
———————————————–

分析①(概説)
今回の解説は、第1段落の’ I said I wanted Americans to have their voices heard.
‘です。

この解説のポイントは、「動詞wantとhaveの不完全他動詞の用法」です。
           
前半の解説では、この課題における2つの動詞の「構造的機能」について取り上げ、そして後半の解説では、その訳出法について取り上げます。

     「 I wanted Americans to have their voices heard.」
□ wantについて:
        ⇒ 1) want+O to-inf(V+O+C)
     ⇒ 2) O to-inf(S+V)
   
□ haveについて:
        ⇒ 1) have+O+pp(V+O+C)
     ⇒ 2) O+pp(S+V)
       
上記の2つの他動詞wantとhaveについて、展開式から分かるようにwantは目的語の直後に「to不定詞」をとり、一方have動詞は目的語の直後に「過去分詞」をとっていることから、一見すると両者の間の「構造的機能」は 異なっているのではないか?と思われるかもしれません。

しかし、いずれの動詞の展開式(2) を見ても分かるように、一方の「to不定詞」も他方の「過去分詞」も、2つの動詞の「構造的機能」から見ると「目的格補語」の役割を担っているのです。

というのは、目的語と目的格補語との間に「主述関係(nexus法則)」 が成り立っているからなのです。

このように、「to不定詞」や「過去分詞」などのような「動詞の変化形」があれば、これに対する「主語」が100%存在していて、その「主語」が両者の動詞の目的語であったということです。

そうであれば、その「主述関係(nexus法則)」は当然」本動詞である2つの動詞 wantとhaveの「構造的機能」による、つまり前提とするものであることから、訳出に当たってどのように処理するかという「訳出法」の問題は、後半の解説で明らかにしましょう。
———————————————–

分析②(理論) 
まず、上記した「構造的機能」の分析上の根拠について一言述べておくと、他動詞が目的語の直後に「不定詞」や「過去分詞」をとった場合、すべてそれらの構造物が他動詞の「構造的機能」による「目的格補語」となるものではありません。

「不定詞」が副詞的用法や目的語を修飾する「分詞形容詞」となる場合もあるし、過去分詞も「分詞形容詞」になる場合もあるからです。

そこで、それらが他動詞の「目的格補語」である根拠は、前半の解説の中で述べたように、動詞との関係を前提として目的語と直後の構造物との間に「主述関係(nexus法則)」が成り立つからです。

そうであれば、訳出法においても上記した不完全他動詞の持つ機能に従って、3つの構成要素、即ち「動詞+目的語+目的格補語」を一体化して訳出することができるのです。

   □wantについて⇒ 1) want+O to-inf(V+O+C)
    (訳出)「OがCすることを望む」
        「Oに(対して)Cしてもらいたい」

   □haveについて⇒ 1) have+O+pp(V+O+C) 
    (訳出)「OがCされるようにする」
        「OをCしてもらう(Cさせる)」
              —使役の訳出になる

今回の課題文は、上記の2つの用法(不完全他動詞wantとhaveの構造的機能)がプラスされたもので、それを訳出法として機械的に処理すると、「OがCされる(してもらう)ようにしたい」ということになります。

この文意を崩さないように訳文を構成することになりますが、それは模範訳例で確認してください。