「課題文」
Russian frigate Admiral Gorshkov – the first of a four-ship convoy – fired a 21-gun salute after entering Havana harbor, which was answered by the Cubans with cannon fire from an 18th-century colonial fort built by the Spanish to guard the port.
The Gorshkov is one of the Russian Navy’s most modern ships, and was followed by the nuclear-powered submarine Kazan, a rescue tug, and an oil tanker.
Onlookers and fishermen lined the seafront to watch the vessels arrive in the harbor. A CNN team on the ground saw members of the small Russian community in Cuba and Russian diplomats carrying national flags to welcome the crews.
Some of the Cubans present told CNN they had never seen a submarine enter the bay of Havana before. The four Russian ships are now docked in berths usually occupied by cruise ships.
「訳例」
ロシアのフリゲート艦アドミラル・ゴルシコフは、4隻の護送船団の先頭に立ち、ハバナ港に入港すると21発の礼砲を放った。この礼砲に対してキューバ側は、港の警護のためにスペイン人が築いた18世紀の植民地時代の要塞からキャノン砲で答礼した。
アドミラル・ゴルシコフは、ロシア海軍の最新鋭の戦艦の一隻で、後方に原子力潜水艦カザンと救助船、そして補給艦を従えた。
艦船がハバナ港に入港するのを観ようとして、見物人や漁師たちが海岸沿いを埋め尽くした。現地のCNN取材班は、キューバ在住の小さなロシア人村の村民やロシア外交官たちが乗組員を歓迎するためにロシア国旗を手にしていた。
現場にいたキューバ人の何人かは、潜水艦がハバナ港に入るのをこれまで一度も目にしたことがなかったとCNNに語った。4隻のロシア艦船は、現在客船が普段使用する係留場所に停泊中だ。
———————————————–
一、分析①(概説)
今回の解説は、第1段落の’Russian frigate Admiral Gorshkov fired a 21-gun salute after entering Havana harbor, which was answered by the Cubans with cannon fire~ ‘です。
この解説のポイントは、「関係詞の継続的用法と直後の受動態」です。
前半の解説では、この課題における「関係詞の継続的用法と直後の受動態」について、構造的視点から取り上げ、そして後半の解説では、その訳出法について取り上げます。
□ Gorshkov fired a 21-gun salute~, which was answered by the Cubans~
⇒ 1) S+V, which-cl (関係詞の継続的用法と等位接続詞)
= ~, and (but, for, though)+it(代名詞)~
⇒ 2) S+V, which be+pp (関係詞直後の受動態)
= ~, and S+V+it(and S+V+O)
= ~, and it be+pp by+S(関係詞節を受動態に変換)
上記の事例について、2つの構造式を取り上げました。
構造式(1)については、「関係詞の継続的用法」の分析です。
この関係詞には、等位接続詞である基本的には4つの等位接続詞と代名詞it(ケースによって、they, themがある)が内包されています。
前節と後節(関係詞節)の内容が並立関係にある時には「and」、そして対立関係にある時には「but」となり、これは下記の訳出で述べるように2つの節の内容的展開(動詞が判断基準)によって異なります。
次に、構造式(2)について、なぜ「等位接続詞」に代えて「関係詞の継続的用法」を用いるのかということです。等位接続詞であれば、前後の節の間に「対等関係」が生じるけれども、「関係詞」を使用すれば(関係詞の限定的用法の場合)両者の間に「主従関係」が生じるからです。
しかし、この「主従関係」を避けるために、「カンマ記号」によって前節からの「独立」を図る(関係詞の継続的用法に切り替える場合)ことは、機能的にある程度可能です。もっとも、独立と言っても関係詞節は「先行詞に関する余分の説明」であることから、形式的な独立と捉えた方が良い。
むしろ、構造式(2)で示したように、前文の代名詞である先行詞itが後節(関係詞節)の従動詞である他動詞の直後に位置付けられると、前文の本動詞との論理展開における「連続性」が損なわれるのを避けるためだということです。
要するに、後節(関係詞節)の文頭に先行詞に代わる代名詞it及び動詞be answeredが存在することによって(S+V)、前後の論理展開の「連続性」が明確になるということです。
———————————————–
二、分析②(理論)
上記の分析法に従って訳出法を明らかにしましょう。
まず、「関係詞の継続的用法」における等位接続詞の決定基準ですが、それは代名詞に代わる先行詞が前節のどの部分、例えば「前文」なのか、特定の「名詞」なのかを見定める必要があります。
この課題のように、前節全体が先行詞であれば、分析法で述べたように「前節と後節(関係詞節)の動詞の相互関係」を見なければなりません。前節の動詞表現が「fired」であり、後節が「was answered」であるから一連の「行為の経過」を表していることになります。従って、等位接続詞andが決定されるということです。
さらに、前節と後節(関係詞節)との間の「効力関係(力の関係)」の問題ですが、この問題は英語では構造論によって表現していますが、日本語は構造の言語ではないために、英文構造によって示される意図を意味論によって「日本語表現法」で示すことになります。一般的には、「接続詞と動詞の日本語表現」によって処理されます。模範訳例をご覧ください。
次に、「後節(関係詞節)の受動態」は何を意味するか?という問題です。
この問題は、動詞を中心とした英文構造、即ち「基本5文型」がありますが、この「基本5文型」の前提を成す共通の構造、これが「nexus法則(主述関係)」です。
つまり、英文の文意の中心(大前提)は、動詞だけではなく文頭にあるこの「nexus法則」によって生み出されているのです。
このことから、上記の構造式(2)の2つの展開式を見れば分かるように、上の展開式の後節(関係詞節)の表現法は、関係詞の継続的用法を用いて前節を「直截的に」受けた意図に一致していないことが分かります(主語と目的語の位置関係)。
それに反して、下の展開式はまさに「nexus法則」そのものであって、訳出にはこの前節との「意味の連続性(展開)」を出さねばなりません。模範訳例で確認してください。